好きだった女上司 - 特別お題「今だから話せること」

特別お題「今だから話せること

私が20代の頃の、職場の女上司の話です。そもそも男性中心の業界というか、職種だったため、女性がいること自体が珍しかったです。

当時は転職直後で、色々な不安や不満、苦労もあったのですが、逐一やるべき仕事内容を指示してくれる会社だったので、ある意味すごく楽でした。なぜって、自分の頭であれこれ考えなくても、指示通りに動いてさえいれば良かったのですから。それはそれで面白くない面もあって、指示内容が悪いと同僚たちと上司の悪口を言ったりしたものでしたが、指示待ちが一番楽であるのは間違いありません。そしてこの楽な環境に長くいればいるほど、どんどん自分が駄目になっていきます。ほとんど何も考える必要がないのですから、能力が上がったり、成長するといった事がありません。ずっとこの環境にいるのならいいのでしょうが、転職して別の職場へ行ったりすると地獄を見ます。

そんなこんなで、楽ではあるものの不満もある職場で、女上司のもと働いていました。その女性は比較的フレンドリーで、あまり上から目線の人ではありませんでした。セクハラという言葉は当時からありましたが、パワハラという言葉はまだあまり聞かなかったような気がします。

精神年齢が低い私にはある意味権力をふりかざすような、パワハラに近いくらいの上司がちょうどいいと思うのですが、残念ながら友達感覚で話ができるような関係だったため、甘えが出るようになってしまいました。

無駄な私語、茶化し、さらには指示に従わないなど、今思い返せば言語道断な事ばかりです。解雇されてもおかしくない内容でした。別に男女差別という考えがあったわけではありません。上司が女性という事にも何の抵抗も無かったと記憶しています。それではどうして私はあのような態度をとったのでしょうか。

まだ幼い男の子が、好きな女の子にあえて意地悪をしてしまう事があるらしいです。今にして考えると、私の行動はこれらしいのです。普通に好きだと告白する選択肢はまるでありませんでした。もっともその頃の私の年齢は20代でした。その歳でそんな子供じみた真似を……こうやって書いている今も非常にばつの悪い思いでいっぱいです。

その女上司は本当に困っていた事と思います。管理職になりたてで、男性中心の職場で苦労も多かったと思います。本当に申し訳なかったです。

後にその女上司は別の部署に異動になり、しばらくして退職しました。私も退職・転職して、当然指示待ちで通用する環境などそうそうなく、苦労する日々です。

以上が「今だから話せること」で思いついたエピソードです。恥ずかしいやら情けないやら、穴があったら入りたい心境です。